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安岐の設定を作るべく正室殿の情報を探していると、検索で出てきたのがこの本でした。

『真田幸村の妻』
著者:阿井景子(光文社文庫)

阿井景子さんの小説は『武田勝頼の正室』と『信玄の正室』の二冊も持ってます。(正室と書いて【つま】と読みます)
奥方に注目されている方なら一読の価値ありかと。
三条夫人もこちらの小説で好きになりました。
3の情報が出揃って勝頼の立ち位置がわかったら、武田家の捏造もやりたいなと考えてます。

以下は『真田幸村の妻』の感想です。



物語は、関ヶ原時点での上田城から始まり、大坂夏の陣までのお話。
終始奥方視点なので、合戦シーンなどは人伝に聞くという形であっさりと語られているだけです。
講談的な創作は一切なく、史実に沿った歴史小説の上、話の大部分は九度山村での蟄居生活のため、この辺りの一家の困窮した生活ぶりに興味がないと読むのがつらいかもしれません。
幸村の名前は最初に信繁が実名と注釈がついていましたが、幸村で統一されていました。

作中には恋愛描写はありませんでした。
その代わり、互いを思い合うさりげない描写が多くて、そこがじわじわと胸に迫ってきます。
夫婦愛だけではなく、登場人物それぞれの家族への愛情を強く感じました。

正室殿の名前は竹姫です。
大谷吉継の唯一の実子で、兄二人は養子。両親と兄達に可愛がられて育ちました。
父の訃報を聞いた竹姫が、幼少の頃に父に遊んでもらったことを思い出して号泣する場面があるんですが、子煩悩だった吉継の姿に悲しさも際立ちます。
仲良し家族の姿が容易に想像できて、母と次兄の最期を知る場面も心が痛みます。

大谷吉継とその家族についての明確な史実資料はないらしいのですが、なんとなくこの作品のような仲良し家族のイメージがあります。
吉継が敵を作ることがなく最期は友情に殉じた人格者だったという評価があるからでしょうか。
解釈は様々だとは思いますが、そういう人なら妻子(養子含む)に対しても愛情深い人だったんじゃないかと想像を膨らませてしまいます。

話は戻って、竹姫と幸村の夫婦仲について。
幸村との関係はとても穏やかです。
幸村の妻子に対する感情は言動からでしか推測できませんが、正室も側室も分け隔てなくとても大事にしています。
竹姫が夫を慕うように、他の妻達も幸村が大好きだったのではと想像できるほど、幸村は良き夫、父親として描かれていました。
娘への土産に竹人形作って持ってきたり、親子で一緒の場面はほのぼのします。

上田城では合戦中で、蟄居生活では当初別居を余儀なくされていたせいか、竹姫はいつも幸村に会いたがっています。
彼に会えると思うだけで胸を弾ませたり、会えなくても近くにいたいと迷うことなく付き従って行ったり、健気過ぎて可愛いよー。
私が正室殿に萌えてしまったのも、この本のおかげです。
一途なヒロインは大好きだ。

幸村には竹姫の他に、妻と呼べる女性が三人出てきます。
一人は長女を産んですぐに亡くなったので出番はありませんが、存命の二人は竹姫と一緒に幸村に随行し、九度山村で暮らします。
妻が三人というと、夫をめぐる嫉妬やら確執があるのではと想像されそうですが、そんなことはありません。
運命共同体というか、同じ夫を持つ妻として互いに支え合っています。
側室の芳姫も最初は子供ゆえの我が侭な振る舞いで周囲を困らせますが、もう一人の側室である萩の方が亡くなってからの後半は立派に一家を支える母親の一人になってました。

それよりも身分の上下関係に拘っている場面が印象的でした。
奥のことはまず正室にが基本で、身分も正室の子が上。
芳姫が竹姫を通さずに舅の昌幸に願い事を言って諌められたり、梅(萩の方の子供)があぐり(竹姫の子供)の手を叩いたことで(梅の気持ちを理解していながらも)竹姫が眉を顰める場面など、やはり現代とは少し感覚が違うようです。
この辺はあまり重要な場面ではないのですが、唯一感覚的に違和感を持った箇所だったので、身分差のあった時代について一つ勉強になった気になりました。

真田幸村の物語は有る意味では悲劇なのかもしれませんが、そこに到るまでの彼らの生き方には何がしか惹きつけられるものがあります。
苦楽を共にした彼の妻子も、蟄居させられたまま老いていく幸村を見ていられなくて、苦労はあっても穏やかだった暮らしを捨ててまでも幸村に従ったのではないかと思いを馳せます。
全てが終わり、残された竹姫の心情を読んでいると、本当に痛々しくて悲しかったです。
でも、ただ悲しいだけではなく、どこか満足のいく読後感があるのも不思議でした。



歴史小説の探索は続行中ですが、幸村の妻子を取り上げている作品はなかなか見つかりません。
しかし、ある小説を読んでから、大助(嫡男)が正室殿の子なら出番が少なかろうがどうでもよくなってきました。
あんな地雷小説があるとは思わなかったよー。(T_T)
買う前に立ち読みして良かった。
かなりショックだったので、この件については記録代わりに後日語らせていただきます。
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