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前回の記事の続きで外伝の感想を。

『異戦国志外伝 新真田十勇士』全5巻
著者:仲路さとる(学研・歴史群像新書)

こちらのお話は本編で生き残った真田大助が主人公で、豊臣再興を目標に旅をするお話です。
竹林院様は生存していますが、名前がちらっと出てくるだけで出番はありません。

タイトル中に真田十勇士とありますが、本来の十勇士ではなく家臣が十人いるだけで、全員作者様のオリキャラです。
お馴染みの十勇士ではないので、本編を読んでいないとおそらく楽しめません。
逆に読んでいると、この人はあの時の……って感じで繋がりに気づいて楽しめたりします。
本編ありきの作品なので、外伝単体で読むのはお勧めしません。

史実の真田大助は大坂夏の陣で大坂城落城の際に秀頼に殉じて自害します。
なので、生き残った大助を主役にした話というのは珍しく、仮想戦記ならではの楽しみ方なのかも。


この作品を読むまでは、大助には親思いで健気な薄幸の少年というイメージを持っていました。
真田幸村の小説に出てくる大助は例外なくそういう人物像であり、幼くとも一人前の武将として凛々しく振る舞い、どこか優等生的な印象がありました。
それがですね……。

この傍若無人な若殿様は誰ですか?(笑)

本編の時からやんちゃな性格に描かれてはいましたが、主役になるとその無茶苦茶ぶりに目眩がしそうになりました。
確かに大助を構築する重要な要素は外してはいないのですが、とにかく性格がとんでもない。
自己中で遠慮のない言動は純粋といえばそうですし、優しい面も描かれてはいるものの、なんかこうツッコミ所がありまくりな人です。

序盤では後に十勇士となる登場人物達が、大助に巻き込まれる形で旅の道連れにされていきます。
もちろん大助に好意を持ってついてきてくれる人もいますが、逃げ出す機会を窺う人、打算で家臣になる人、上司の命令で否応なく家臣の列に加えられてしまった人等、最初のうちはまとまりがありません。
しかし、巻を重ねるにつれて、彼らは主従というだけでなく家族のような絆で結ばれていきます。
話の流れ自体は打ち切り?と疑いたくなるような急展開でしたが、大助と家臣達の物語と思えば十分過程は描かれていたのではと思います。

ちなみにこの作品での十勇士は以下のような方々です。

■猿田寝吉
本編から引き続き登場。元は幸村に仕える忍者だったが、大助の傅役に志願したことから姓をもらって侍になる。

■霞野才蔵
霧隠じゃない才蔵さん。信之に仕える忍者だったが、大助に譲られてしまってお供に加わる。登場時は霞のの部分は通り名だったが、姓をやるという大助に漢字をあてられた。それじゃあ前と同じだと、才蔵さんがっかり。

■雲心
僧侶。大助の強引な勧誘により無理やり家臣にされてしまう。本編にはモブの小坊主さんで登場していた。

■末太郎
口減らしのために捨てられてしまった子供。大助に懐いてついてくる。

■姉山竜国
本編から登場。元は信長の家臣で主君の仇討ちのために豊臣方に加わっていたが、豊臣が敗れて以降は山に引きこもっていた。末太郎に情が湧いて大助のお供に加わる。

■お百合
竜国の奥さん。本編では無口で無愛想な女傑だったが、末太郎のおかげで本来持っていた母性を出すようになり、朗らかな女性に変貌。

■花沢元四郎
剣士。幸村配下の武将に仕えていたことがある縁で大助の家臣になる。本編には家族が登場。

■春川隆次
父の仇である元四郎を付け狙い、機会を窺うために家臣になる。仇討ちを目的にしているが、読書好きの学者肌で剣は苦手。

■春川奈々
隆次の妹。弱腰な兄を叱咤する勝気な女の子。大助とは喧嘩ばかりしていたが、いつの間にやらくっついていた。

■かまいたちの辰
とある大名の重大な秘密を知ったことから追われており、身を隠すために大助の家臣になるが、後に改心して本当の家臣となる。

書き出して改めて見直すと、本当に十人頭数揃えただけという気がしなくもないような。
発売当時、タイトルだけ見て購入して十勇士じゃないよとがっかりした人がいたのではなかったのかと、人事ながら心配になってきました。

大助一行以外では、信之兄さんの登場が嬉しかったです。
本編ではいつのまにか出番がなくなっていたのですが、徳川側でしたので無事に家を守っておられました。
訪ねてきた大助を大歓迎する信之さん。
気前よくお金の都合をしてあげたり、才蔵さんを譲っちゃったり、幸村と(子供の面倒を見ると)約束したから遠慮なく頼れと張り切っています。
良い伯父さんぶりに目頭が熱くなります。
これも普通の歴史小説だと見られない光景ですからなぁ。

あとは竹林院様と大助の親子関係に苦笑い。
旅の無事を祈って彫った仏像を雲心さんに託して大助に届けてもらう竹林院様ですが、お金の援助を期待していた大助はがっかりという場面がありました。
愛はあるけど甘やかさないお母さんです。

さらに旅の途中で、大助の手配書が配られてしまうエピソードがありまして、母上が手配書を見たらついに盗人にまで落ちぶれたのかと思われてしまう!と大助が焦ります。
手配書には罪状が書いていないし、竹林院様に限ってそのようなことはありませんと寝吉が言うものの、大助はそれを否定。
「母上はわしのことを未だに信用していないのじゃ!」とぶつぶつ。
いや、わかっているなら信用されるように努力しようよ。
お竹さんの苦労が偲ばれます。

あえて不満点を述べるとすれば、最終巻で大助は奈々との間に子供をもうけるのですが、それが唐突すぎたことでしょうか。
戦記ものに濃い恋愛描写など期待しませんが、数行でも良いのでお互いを気にする場面を入れておいて欲しかった。
悪阻で発覚→過程を全てお百合さんの解説で済ませないでー。
奈々もそれまで元気に駆け回っていたのに、巻が変わった途端に口数が少なくなり、いきなり大助に恋する乙女にされても、気持ち的についていけなかった。
これは妄想で補えということなのか。

全巻読了して、私は楽しめましたが、史実人物と同じぐらいオリキャラが活躍するので、人によって好みが分かれるかも。
真田大助のイメージに一石投じるような作品でしたが、強烈過ぎて、やっぱり従来描かれているような優等生大助のイメージの方が落ち着くような気がします。
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